「嗅細胞は、鼻腔上部の粘膜中にある匂いを感知する感覚神経細胞です。」

「嗅細胞には髄鞘があるのですか」と町会長。

「嗅細胞から出ている軸索には髄鞘はありません。軸索が束になった軸索束で、嗅覚情報を処理する脳内の嗅球とつながっています。」

「それでは、嗅覚障害は起こらないことになるのではありませんか」と町会長。

「嗅細胞は極めて脆弱で、30~120日で新しい嗅細胞に置き換わります。実際、ウイルス感染等によって一度に多くの嗅細胞が死んでしまうことがあります。」

「なるほど。それで嗅覚障害が起こるとお考えなのですね」と町会長。

「その可能性は十分ありますが、嗅球内の神経細胞の髄鞘が傷害される可能性も高いと推定しています。」

「嗅細胞が死ぬだけでなく、脳に感染している可能性が高いとお考えなのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。札幌医科大学が、WHOが公式に公開しているデータのうち、人口100万以上の世界159カ国のデータを元に、 人口100万人あたりの感染者数・死者数の推移を国別にグラフ化したものを公開しています。」

「そのグラフを見ると、脳に感染している可能性が高いことが分かるのでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、グラフの読むのに、頭を使ってしまいました。」

「小脳の機能が思いっきり低下しているということでしたね」と町会長。

「そうなんですよ。それで頭を思いっきり捻ってみました。最初、感染者数のグラフが表示されます。動体視力が上がって、昔は気がつかなかったようなことに、気がつくようになったためか、ヨーロッパ諸国やアメリカは、感染者の増加率がほぼ同じだということに気がつきました。」

「どうして、増加率が同じだと分かったのでしょうか」と町会長。

「良く報道されているような国別の感染者数では、国によって人口が異なるため、感染がどのように広がって、どのようなステージにあるかということが分かりません。」

「なるほど。100万人中100万人が感染すれば、それ以上感染は増えませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、グラフを見ただけで感染がどこまで進んだか分かるのではないかと勘違いしやすいという問題があります。」

「グラフを見ても、感染がどこまで進んだか分からないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。感染者数は、感染した人が病院に行って、その病院にSARS-Cov-2の感染を検査できる体制が整っている場合にのみ、感染を確認できますが、最先端の技術を持っている米国でさえ、検査体制は、不十分です。」

「中国の農村部は、検査体制が前近代的でしょうから、全く、参考にならないでしょうね」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、グラフを見ると、イタリアやスペイン、フランス、スイス、ドイツ、イギリス、米国、カナダなどは、グラフが同じような角度で立ち上がっています。」

「グラフが同じような角度で立ち上がっていると言いますと?」と町会長。

2020/4/2